バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第8部 カンボジア、ベトナム、ラオス

メコンデルタ-2 ~密林の迷路

2007年10月31日

7時出発だというのに、起きてみると6時を過ぎていた。身支度をしようとバスルームに入ると、洗面台にはワカナの化粧品がずらりと並んでいた。
伸ばしていたひげの手入れは省略して、急いで身支度を済ませる。その早さに、ワカナが「男の人っていいなー」とぼやいていた。
フローティング・マーケット
フローティング・マーケット

メコンデルタツアーの2日目は、まずフローティング・マーケット水上マーケット)巡りから始まった。
私たちが訪れたカントーの水上マーケットはメコンデルタでも最大とのことである。
ボートに乗り込み、果物や野菜などを積んだ川面に並ぶ大型ボートの間をすり抜けていると、それに横付けされた小型ボートに荷物を積んでいく買い手の姿も見え、メコンとその支流というベトナムの"血管"を生かした伝統的な売買のあり方がよくわかる。
しかし、何かもの足りない。活気がいまひとつなのである。
船に乗り込む前に、ガイド氏がマーケットについてこのように説明していた。
「交通網の発展に伴い、水上マーケットは消えていく方向にあるのですが、観光客のために維持の努力がされています」
無理をして続けているのか ―― それでは活気が乏しいのも無理もない。
売買の光景は確かに見ていて面白いのだが、一抹の寂しさのようなものも感じずにはいられなかった。
「タイで見た、川に小舟ぎっしりの水上マーケットをイメージしてたけど、違った」
ワカナも同じ思いだったようである。 密林の迷路
メコンの"毛細血管"とも言うべき密林の迷路

そして、ボートは比較的広めの支流から、更に細い支流へと入り込むことを繰り返し、川幅は気がつくと10mにも満たない狭さ。言わば、メコンの“毛細血管”だ。まるで奥深いジャングルの中の川の迷路に入り込んだかのような気分になっていた。
しかし実は、私が今回のツアーで一番期待していたのが、まさにこの光景だったのである。
広大なメコン本流も自然の偉大さを感じさせてくれるが、それを感じさせてくれるのは専ら水の光景だ。
しかし、ここでは水の光景プラス陸の光景がある。左右両方のすぐ横に迫る密林の木々は、褐色のメコンに深緑の彩を加え、壁のようにそびえるがゆえに来る見通しの悪さは、「どこへ向かっているのだろうか?」というわくわくするような気持ちを私たちに与えてくれる。
これを文字通り、自然の“奥深さ”とでも言うのだろうか。 ハンモック
ハンモックで一休み

密林の迷路を抜けた後は、所々で上陸して、東南アジア特有のフルーツを賞味したり、密林を散歩してみたり、ハンモックで横になってみたり、精米の工程を見学したりと、色々な方向から東南アジアを、ベトナムを体感する。

再び広々とした川に出て、乗船した場所に戻って下船する。昼食後、バスに再乗車。ホーチミンへの帰途に就く。

来た時と同じように、橋の無いメコン本流に遭遇。昨日も乗った大型渡し船に再度乗るが、今回は来た時には上らなかった船のてっぺんまで上ってみる。
ボートに乗っている間は左右一度には見えなかったメコンが、ここからは何も遮るものなくすっきりと見える。上から見下ろすメコンは、果てしなく広く感じられた。

メコン川
渡し船の上から望むメコン川

渡し船を下り、バスに戻ったところで再び陸路へと戻る。メコンとはひとまずのお別れだが、再び対面するのもそう遠い先のことではないだろう。

途中、ビン・ロンに寄り道。マーケットを見学したりベトナムコーヒーを飲みながら一息入れたりする。
ビン・ロンのマーケット
ビン・ロンのマーケットにて
3泊コースでカンボジアのプノンペンに向かう客たちはここでバスを換えた。

ホーチミン(サイゴン)に到着後、昨日朝までいたあのとんでもない宿とは別の安宿を探すが、すぐに「5ドルの部屋があるよ」と客引きに声をかけられた。案内されたNHUゲストハウスは路地裏の一見民家のようなGHだが、5ドルでテレビ、ホットシャワー/トイレ付きという穴場の宿だった。

ワカナはこの日夜のバスでニャチャンに向かうが、まだ時間があったので近くのレストランで一緒に食事をした。
注文したのはゴイクン(生春巻)とFried Porkだった。ゴイクンはしその味が効いたあっさりとした味で美味しかったが、Fried Porkの食感がどうもおかしい。
「この食感…」
豆腐?」
一体、豚肉をどう料理したら豆腐のような食感になるというのだろうか。
そこへ、邪魔が入った。どこからともなく煙草売りの男が現れて売りつけてくる。「間に合っている」と断ると、今度は
ハッパ(マリフアナ)?」
折角の楽しい時間を台無しにされた私は、怒りのあまり拳を握り締めてNo! の態度を示した。

その後、ワカナはニャチャンへと旅立ったが、私も明日には向かう予定である。またすぐに会えるだろう。

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