バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第7部 マレー半島、タイ

シンガポール-1 ~インドから別世界へ

2007年9月23日

シンガポール航空の機内での一泊はすこぶる快適だった。機内食は高級感があり、自分の席で好きな映画などを楽しむこともできた。私は久しぶりの日本映画を楽しむ。

早朝6時半、まだ夜が明けきらないシンガポール空港に到着した。前回の入国審査はパキスタン→インドの時であの時は随分チェックが厳しかったことを覚えているが、今回は拍子抜けするくらいあっさりと入国することができた。空路でシンガポール入りする場合、本来ならシンガポールを出るための航空券が必要なのだが、それも提示を求められなかった(と言うより、持っていなかったので提示を求められなかったのが幸いだった)。或いは、私のような小汚いバックパッカーはそのまま陸路でマレーシアに抜けるに決まっている、とでも思っているのかもしれない。
インド・コルカタの空港では手数料が恐ろしく高かったために行わなかったインドルピー→シンガポールドルの両替を済ませた私は、いざ、初めての東南アジアへの第一歩を踏み出した。

空港を出る頃には既に明るくなっていて、地上部分を走るMRT(地下鉄)の車窓からシンガポールの町並みがはっきりと見える。
ほんの数時間前にいたインドとの落差に、ちょっと戸惑う。垢抜けた近代的なビルや家屋が建ち並び、広くきれいに舗装された道路が通っている風景は、インドで見た中で一番ましだったデリーよりもはるかに清潔感が感じられる。
何か、あっという間に別世界に来てしまったような心持ちだ。 ブギスの風景
ゲストハウスから見えるブギスの風景

ブギスというところでMRTを下り、ドミトリーがあるというバックパッカー・コージーコーナー・ゲストハウスに入る。きちんとした部屋のドミトリーは満室で、私は屋上ドミトリーに案内された。明らかに、元々バーが屋上に屋根をつけただけのものだったが、10S$という安さにつられてそこに決めた。(しかし、この選択が後々裏目に出ることになる)
さて、表に出ようかと思ったら、熱帯雨林気候のスコールが激しく地面に降り注いでいる。ベッドに寝転がって止むのを待っているうちに本当に眠ってしまい、起きてみると正午。雨は既に止んでいたので、ゲストハウス下の安食堂で久々に中国料理(ラーメン)を食べた後、シンガポールの街に繰り出した。

正直言うと、シンガポールには大して期待していなかった。
面白みの無い大都会、過度のクリーン政策で窮屈 ―― それが私が抱いていたシンガポールへの先入観だった。
インドの次の大イベント・東南アジア周遊の出発点としてこの国を選びはしたが、それ以上の意義は見出せないだろうと考えていたのである。

しかし、その先入観はいい意味で裏切られた。

確かに、ごみや吸殻のポイ捨てが許されず、チューインガムに至っては販売すら認められておらず、ごみ一つ落ちていないきれいな街である。しかし、ごみは持ち帰ればいいだけのことである。たばこだって、吸殻のポイ捨てが許されないだけで、街中の要所にある灰皿を使えばいいだけのことである。 シンガポール
クリーンシティ・シンガポール
クリーン政策で窮屈に感じるなどとは全くの杞憂だった。

それどころか、驚くほどに開放感が感じられる。

午前中こそ大雨に見舞われたが、熱帯の空が広くて眩しい。道の広さも開放感に繋がっている。

そして、ほんの12時間前までいたインドとの決定的な差がある。女性のファッションだ。
インドでは宗教の戒律もあり、脚のくるぶしまで完全に隠れる民族衣装・サリーを着ている女性がほとんどである。若くてファッショナブルな女性ですら、ジーンズがいいところだ。
シンガポールにもサリー姿を着たインド系の女性はいるが、この国の多数派である中華系の女性は、暑い気候のせいもあろうが、上はTシャツやタンクトップ、下はミニスカートに生脚というファッションで普通に街を歩いている。
私が男性だからということもあるのだろうが、これがシンガポールの開放感を一層引き立てているように思われる。

シンガポールは小国家であるが、中国系、マレー系、インド系などの様々な民族、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教など様々な宗教が混在している。言語はマレー語が公用語として使われているようだが、普通に聞こえてくるのは中国語。英語もそこそこ通用する。
ヒンディー語かベンガル語或いは英語という環境から英語或いは中国語という"言葉がより分かる"環境に移ったことも、私に"ほっとした気持ち"を感じさせている大きな要素に違いない。

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