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世界への旅(旅行記)

アジア周遊第6部 北インド

コルカタ-4 ~モイダン公園周辺とマザー・ハウス

2007年9月19日

ヴィクトリア記念堂
ヴィクトリア記念堂
セント・ポール大聖堂
セント・ポール大聖堂
この日は午前中、コルカタ市内の大公園・モイダンの南側にある名所を訪れる。

まず、ヴィクトリア記念堂。白亜の立派な建物である。と同時に、内部も美術館・博物館としてかなりハイレベルである。
私が一番心を奪われたのは、内部の中心部分。1階の床から屋根が直接見え、この建物がいかに大きいかが実感できる。床から屋根の間の壁にはステンドグラスの絵が飾られていたりして、やはり"美"の側面でも見応えがある。

ヴィクトリア記念堂の敷地のすぐ東側には、セント・ポール大聖堂がある。ゴシック様式のキリスト教会で、やはり荘厳な外観、厳かな内部ともに見応えがある。

しかし、よくよく考えてみると、いずれもインドがイギリスの植民地であった時代の証人なのだ。ヴィクトリア記念堂敷地内に置かれたヴィクトリア女王(ムガル帝国滅亡後、英領インド皇帝の座に就いた)の像がそれを象徴的に示している、と言うより、名前から分かるようにこの建築物は侵略国の国王ヴィクトリアがインド皇帝になったことを記念したものなのである。
美しい姿の裏に、そうした暗い歴史が忍んでいるのだ。

15時。昨日は場所の確認だけしたマザー・ハウスに、ボランティア参加の申し込みのため再来する。昨日は外から見ただけだった玄関をくぐると、シスターが「どうぞこちらへ」と私を招き入れてくれた。申し込みには大勢の外国人たちが訪れていて、中でも日本人が多かった。
内部にはマリア像など、キリスト教の信仰を表すものが幾つも置かれている。厳かで、そして優しげな空気が流れており、表のコルカタの喧騒とは完全に隔絶されていた。
説明会の前に、日本語で書かれた1枚の紙を渡された。 マザー・ハウス内部
マザー・ハウス内部
そこには、サダル・ストリートの物乞いに対するマザーハウスのスタンスが書かれていた。意外にも、物乞いに対しては「むやみに金品を与えないようにしてほしい」というのが、ハウスのスタンスだった。
その理由としては、以下のようなものがある。(紙に書かれた内容を一字一句間違いなく覚えている訳ではないので、私の言葉で要約して書いている)

・サダル・ストリートの物乞いの中には、本当に生活に困っている訳ではない者もいる。
 ――  確かに時々、えらく小奇麗な服を着た物乞いに出くわすことがある。

・むやみに金品を与えると、"たかり"の構造を助長してしまう。
 ――  これは、私も常々思っていたことだ。確かに物乞いの姿は見ていて気の毒だと思うが、金は他人にせびればもらえるもの、という意識を、個人にも社会にも植え付けてはならない。
そうした考えから、私はこれまで物乞いに金品を与えたことはなかった。そのことに対して、自分は余りに冷徹なのではないか、というジレンマに襲われることもあったが、その紙に書かれていた文面を読んで少し救われた気がした。昨日、子供たちにミルクを買ってあげたことがささやかな贖罪にでもなれば…。

しかし、その次に書かれていた内容が、私の気持ちを引き裂いた。

・裏社会の大人たちが子供たちに入れ知恵して、金を懐に入れているケースもある。(例:他人にミルクなどの物を買わせ、買ってもらった品物をまた店に返してお金に戻す、等)
 ――  おい、これって昨日の「ミルク買って」の一件そのものではないか。 道理で、あの男の子が「もう帰っていいよ」としきりに言っていた訳だ。この話が本当なら、実際にはミルクは渡されず、私が渡した50ルピーは男の子に返され、その背後にいる大人の手に渡っている可能性があるということになる。

裏切られた  ――  そんな悔しい気持ちで一杯になった。
子供の純真無垢さに騙された  ――  否、そこにつけこんでくる、背後にいる大人の心理作戦に騙された。

しかし、すぐに気持ちを切り替えなければ。マザーハウスの説明会がもう始まるのだ。

日本人スタッフによる説明とインド人シスターとの面談(英語)を行う。
「2日しか参加できないんですけれど、1日目と2日目で場所を変えることはできますか?」
「できません」
結果、私は21日(金)、22日(土)の両日午後(希望者多数で午前は参加できず。本当は翌日からでも参加したかったのだが、木曜日休みのため21日からとなった)に「カーリー・ガート」のボランティア活動に参加することになった。
そこでは、誰が、何が私を待っているのだろうか。

サダル・ストリートに戻ってぶらぶらしていると、後ろから肩を軽く叩かれた。振り返ってみると、
「こんにちは」
と、見覚えのある年配の日本人男性がいた。パキスタン・フンザでのある日、夕食で同席になった男性だった。
長旅をしていると、こうして思いがけない再会も嬉しいハプニングである。

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こんにちは。突然のメールすみません。
デリーのレストランでお会いして、一緒にタージマハルを見に行った女子大生の一人です。
あの時は大変お世話になりました。
日本に帰って、よくこのブログを見ています。
私もコルカタでは、カーリーガートでボランティア活動に参加しました。
感じ方は人それぞれですが、大変貴重な体験になると思います。
頑張ってください!

おにづかさん、こんにちは。よくご覧頂いているとのこと、ありがとうございます。

あの時は、こちらも大変楽しい思いをさせていただきました。

本日9月21日、カーリー・ガートでのボランティア1日目を経験してきました。詳しい事はブログで書きますが、本当にいい経験となりました。

楽しかったような、大変だったようなインドの旅も、いよいよ明日で最終日。明後日には新たなる国へと、次のステップに入ります。

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