カトマンズ・3 ~ダルバール広場
2007年7月23日
ドミトリーで先ほど借りてきた本を読んでいると、サトコが外出から戻ってきた。
「ダルバール広場に行ってきたんだけど、このチケット当日なら何回でも入れるし、顔写真を持って行ってパス(ビジター・パス)を取れば1週間何回でも入れるよ。よかったら使って」
ダルバール広場
と、広場のチケットを譲ってくれた。本来なら200Rsかかるところを、これはありがたい。早速行ってみることにした。
「ダルバール」はネパール語で「王宮」の意味であり、ダルバール広場は先ほど見た新王宮に移行する以前の旧王宮「ハヌマン・ドカ」の門前広場である。
タメルからは南へ1km強の距離なので勿論徒歩で行くことができるが、細い上に人や自転車、バイク、リキシャ、自動車などでごった返す道を行ったのでかなり時間がかかった。
到着して真っ先にサイトオフィスに出向き、譲ってもらったチケットを元にビジター・パスを作ってもらった。
サイトオフィスは広場に面した地元の学校の校舎内にあり、ちょうど休憩時間で校庭では子どもたちが元気に遊んでいた。男女交じって鬼ごっこをしている姿などがとても無邪気で初々しい。
校庭で遊ぶ子どもたち
クマリの館
校舎のすぐそばに、「クマリの館」という建築物がある。
クマリとはネパール信仰の女神で、初潮前の体に傷の無い少女がクマリの化身、即ち”活き神”として選ばれ、ここに暮らしている。
少女の姿を見ることはできなかったが、彼女がどんな生活をしているのかと少し想像してみた。
どんな勉強をしているのだろう。宗教のことが主なのかな?
家庭教師でもついているのだろうか?
親や友達から引き離されて、寂しくはないのだろうか?
初潮が来るなどして退任したら、その後はどうなるのだろう?
そして少女・クマリは、校庭で子どもたちが遊んでいる光景をどんな思いで見ているのだろうか…。
ハヌマン・ドカ(王宮)
カーラ・バイラヴの像
広場一帯には宮殿を中心に、幾つもの寺院が建っている。寺院はシヴァ寺院などヒンドゥー教のものが多い。私にとって、ヒンドゥー教に接するのはこれが初めてとなる。それだけに、理解するのは難しいが、その独特の雰囲気はちょっとしたカルチャーショック的なものを私に与えるに十分だった。
中でもインパクトが強かったのが、シヴァの化身であるカーラ・バイラヴの像である。一見ユーモラスにも見えるが、実は"恐怖の神"。真っ黒な体から伸びた6本の腕には武具、そして人間の生首が握られており、背中には屈強な男を背負っている。まさしくシヴァの化身に相違ない。"破壊神君臨"である。
赤いサリーの女性たち
広場の一角にある小さな堂の方に目を向けてみると、赤いサリーを着た女性たちが大勢集まっている。サリーとはインド周辺で一般的な女性の民族衣装で、サリー姿の女性はこのあたりの日常的風景としてごく普通に見ることができるのだが、これほど真紅のサリーが、1人だけならまだしも、何十人と集まっている風景はそれ程日常的ではない。
実はこの日は月曜日で、女性たちが赤いサリーを着て夫の健康を祈るという行為が月曜日の定例行事として行われているのだ。
やはり私にとってヒンドゥー教は未知の世界である。初めて目にしたヒンドゥー教の行事に新鮮さを覚えたが、この程度はまだまだ序の口だった。その後約2か月の間に、私はもっと不思議なヒンドゥーの光景を幾つも見ることになる。
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