バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

アジア周遊第4部 ネパール

カトマンズ・2 ~王宮と予防接種

2007年7月23日

バックパッカーという人種は朝が遅い傾向が強い。しかし私は結構朝が早く、ドミトリーの同室を起こさないようにひっそりと起床した。
「おはよう…」
もう一人朝が早いバックパッカーがいた。サトコである。2人で早朝のタメルの散歩に出かけた。
ランドリーサービスをやっている店や朝食を食べられる店を探したのだが、やはり早すぎたのか、ほとんどの店が閉まっている。ようやくランドリーの店を一軒見つけ、朝食は結局、宿のすぐ近くでチャイとドーナツを頂いた。
チャイとは、水とミルクで紅茶を煮出し、たっぷり砂糖を加えた、北インド周辺でよく飲まれるミルクティーである。 新王宮
ナラヤンヒティ王宮
以後2か月ほど私は幾度となくこのチャイを味わうことになるが、今回のものが私にとって初チャイとなった。

カトマンズに着いたらこれだけはやっておきたい、いややらなくては、と考えていたことがあった。狂犬病と破傷風の予防接種である。これから先インド、東南アジアなどを回ることを考えると、これだけは受けておいた方が無難である。注射後のシャワーはやめておいた方がいいので先にシャワー(今回はきっちりお湯が出てくれた)を浴びてから出かけた。
タメルを離れるとすぐに、1970年以降のネパール国王の居であるピンク色のナラヤンヒティ王宮(※)が見えてきた。中には入れないので外から見ただけだったが、広い敷地内にピンク色の立派な建物が建ち、周囲は警護兵で固められていていかにも国王の住まい、といった趣だった。それでも不思議と、周囲と比べて浮いた感じは無い。

<後日談>
翌2008年6月、ネパールの王政は廃止され、国王一家はこの王宮を退去し、王宮は博物館として生まれ変わった。私が訪れた当時、この王宮は"現王宮"とも呼ばれていたのだが、もはやこの呼称は使うことはできない。

王宮から少し東へ行くと、"Nepal International Clinic"の看板が見つかった。少し奥に入った所に目指すクリニックがあった。こじんまりとしているが庭の雰囲気が良く、清潔で静かなクリニックだ。
英語OKの受付で狂犬病と破傷風の予防接種を申し込み、右と左の肩にそれぞれ1本ずつ打ってもらった。2本で計52ドルと結構な値段(それでも、日本で受けてきたヨージの話によると『日本で受けるより安い』とのことである)だったが、VISA、MASTERのクレジットカードが使えたのでカードで支払う。
狂犬病は更に2回、破傷風は更に1回接種が必要で、狂犬病が1週間後とその3週間後、破傷風が4週間となる。狂犬病の2回目はまたここでいいだろうが、同3回目と破傷風の2回目は恐らくインドのデリーあたりになるだろう。

タメルに戻り、エリア入り口に日本語の本がたくさん置いてある古本屋があったので立ち寄ってみた。「アジア『裏』旅行」という本が目に付いたのでそれを借りる(後で返せば売値の半分が戻ってくるシステムになっている)。

そして宿に向かう途中、見覚えのある顔があった。中国・成都からチベット・ラサで行動を共にしたワタルだった。
ラサで別れてからの話を互いにする。ワタルと一緒に来た5人のメンバーは既にバラバラになっていて、カトマンズを離れた者もいるようだった。
そう言えば私の方も、ラサからここまで一緒に来たメンバーは既に基本的に独自の行動となっている。元々が個人旅行者の寄せ集めなのだからそれはまあ無理も無いのだが、彼らとは今後も交流を続けられれば、と思った。

宿に戻ると、ロビーにナナがいたので2、3言葉を交わした。予防接種をしてきたことを話すと、
「今日はお酒飲んじゃだめですよ」
と釘をさされた。そうだった。忘れるところだった…。

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