マカオ-3 ~東洋の中の西洋
2004年1月31日
聖ミカエル墓地
珠海への関門
前日、丘の上のギアの灯台から、街中に墓地のようなものがあるのが見えた。 マカオの墓地なら、きっと西洋の趣があることだろう ―― そう思ってやって来た聖ミカエル墓地は、私の期待通りの場所だった。
白い石で作られた、十字架や胸像をかたどった墓が幾つも並んでいる。中には、漢字で「終于民国十八年
」と書かれた中国的な墓石も見られる。いかにも“東洋の中の西洋”たるマカオらしい墓地だ。
それから、観音堂、林則徐紀念館等のある街の北部を抜けて、街の最北端にたどりつく。 ここには“大陸”側への関門があり、ここを抜けると広東省・珠海市に行くことができる。
話の種に渡ってみてもよかったのだが、間もなく香港から大連に飛ばなければならない私にとっては、先日香港―深圳間で経験したイミグレーションでの煩雑さを繰り返してまで、という気にはなれなかった。
いずれにしても、珠海という街にはそれ程引き付けられるものも感じられなかったので、関門を表から見るだけで終わりにし、バスでホテル方面へ戻ることにした。
ホテル最寄の停留所がどこだかよく分からず、勘に任せて「次あたりだろう」と乗り続けていたら、バスはホテルがある通りを素通りしてそのまま高架に入り、トンネルを抜けて港近くまで行ってしまった。
えらく遠くまで連れて来られたが、降りた停留所の近くにグランプリ博物館があったので、ついでだから立ち寄ることにした。
マカオはF3のグランプリ開催場として有名であり、11月のグランプリでは公道を利用してレースが行われる。
グランプリ博物館
私のカーレースに対する興味は、高くもなければ低くもないが、こうした類のものに間近に接するのは初めてだったので、まずまず楽しむことができた。
マカオを一通り楽しんだところで、大連へ向かうことにする。
香港のチェクラップコク国際空港へは、マカオからも船が出ている。私もそれを利用しようと、港の切符売り場で買い求めようとすると、售票員が私に尋ねる。
「どの航空会社の便に乗るのですか?」
「CA(中国国際航空)だけど」
「CAなら、この船には乗れません」
何だそれは? しかし、乗れないのであれば仕方がない。遠回りになるが、まず香港の上環に戻って、そこからリムジンバスを利用することにしよう。
来た時と同じように、トランクを預けてイミグレーションを通過し、ターボ・ジェットに乗る。
香港の港澳碼頭に到着。僅か5日の日程だというのに、香港・深圳・マカオを合わせて、今回の旅で実に5度目の入境手続きをする。2時間後には再度空港で香港出境手続きをするというのに、ご苦労な話である。
そして、空港に向かおうとゲートを出たところで、何かが足りないことに気づく。
トランクが足りない!
託送していたことをすっかり忘れていたのである。もと来た道を戻ると、私の慌てた様子見て「トランクの持ち主だ」と悟った係員が私を手招きした。
大事なものが結構詰まっていたというのに、危なく香港に置き去りにしてしまうところだった。私にとって、背中に密着しているバックパックに比べると、トランクはどうも存在感が薄い。
香港―大連間は、東京―大連間よりも距離が長い。約3時間のフライトで、大連着。香港便は国際線扱いであり、私は大連空港で、今回の旅行6度目の入境手続きを行った。
*
3度目の正直で見ることができた香港の夜景も良かったが、やはり印象に残っているのは、欧州の香りが色濃いマカオの街並みである。 日本人には大なり小なり、潜在的に西洋への憧れの念があるものである。中国好きの私とて、決して例外ではない。
そろそろ、中国以外の国にも行ってみたい…
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