マカオ-2 ~きらびやかなカジノ
セナド広場からしばらく歩くと、きらびやかなネオンが見えてきた。
葡京酒店 ―― と言うよりは、ホテル・リスボアと言った方が分かりやすいことだろう。
マカオと言えばカジノ、カジノと言えばカジノ・リスボア、
きらびやかなネオンのカジノ・リスボア
と言っていい程の、一大娯楽場を有するホテルである。
勝ち負けはともかく、雰囲気だけでも味わってみたいと思った私は、財布の中身を確認して、この娯楽の殿堂に乗り込んだ。
入場の際には空港のようなボディチェックがあり、手荷物は預かり所に預けることになっている。
「カメラは持って行っていいですよ」と言われたので、カメラと金だけ鞄から出して入場したが、入ってみると中は撮影禁止 ―― それでは意味が無いではないか。
場内の構造を簡単に説明すると、全体が大きな円形となっており、その外周部分が両替、スロットマシン、大小のエリア、内側部分がルーレット、ブラックジャック、バカラ等のエリアになっている。
所狭しと並んでいるゲーム卓の周囲には、通路を通るのも一苦労な程に多くの人々が、ゲームの展開を目で追っている。そしてあちこちで、1つの場が終わるごとに、悲喜入り混じった歓声が沸き起こっている。
私は主に、外周部分でゲームを楽しんだ。
まずは、スロットマシン。コイン(香港ドルの現金[※])を投入してボタンを押すという、カジノの中でも手軽なゲームである。日本では今や、デジタルのパチスロが主流になっているが、マカオカジノのスロットは昔ながらのアナログマシンだ。
なかなか当たりが来ない。来たと思えば、小物である ―― 何か、釣りをしているような気分である。(当たりが来ない間もせっせと手を動かしてコインを入れ、ボタンを押す点では釣りとは違うが)
100HK$ほど負けたところで、別のゲームに移ることにした。
次にチャレンジしたのは、大小。沢木耕太郎「深夜特急」でも、筆者がここリスボアで大小に熱中した様子が描かれている。
大小というのは、3つのサイコロを機械で振って出る目の総計を当てるという、これまたシンプルなゲームだ。ただし掛け金が、具体的な数字を当てるなら20HK$から、総計の多さが上半分か下半分か(これが『大小』の名の由来)なら50HK$からと、スロットマシンと比べて一気にはね上がる。さらに、3つとも同じ数(ゾロ目)が出れば全ての掛け金が没収となり、これもギャンブラーたちを加熱させる1つの原因となっている。
なお、テーブルゲームで賭けるのは原則としてプラスチック製のチップだが、中には紙幣をそのままテーブルに置くギャンブラーもいる。
暫く同じテーブルで、専ら大か小に50HK$を賭けてみたが、一進一退といった感じである。この流れを変えようと、テーブルを変えてみることにした。
各テーブルでは、そこで大、小、ゾロ目のいずれが出たかが順番に記録されている。あるテーブルを見ると、大が4回続いて出ている。
[このテーブルにしよう]
その心は ―― 「これだけ大が続いているのだから、次は小が来るだろう」という読みだった。
しかし、甘かった。結果はやはり大だった。2回目、「今度こそ小だ」と小に賭けてみると、また大である。 3度、4度と繰り返しているうちに、さすがに大の連続パターンは途切れたが、結局、負け越してしまった。
2卓で通算、4勝6敗。手元のチップが無くなった。
しかし、カジノで金を儲けようなどと、もとより考えていない。私がここに乗り込んだのは、マカオの代名詞とも言うべきカジノの雰囲気を味わうためだ。まだ早い気もしたが、火傷をしないうちに引き揚げよう。
私は“娯楽の殿堂”を後にして、夕日に照らされて異国的情緒を一層際立たせているマカオの街中へと戻った。
幻想的なマカオの夕刻
世闇を照らすギアの灯台
夜も深くなってきた頃、ホテルの窓から外を覗いてみると、先程訪れた、丘の上に立つギアの灯台が世闇を照らしている。
海辺の街・マカオで船を正しい方向に導いてくれるこの灯台 ―― 中国に返還されたばかりのマカオを、どんな方向に導いてくれるだろうか。
[※]マカオの通貨はパタカだが、至る所で香港ドルも通用する。特にカジノでは、ほぼ完全に香港ドルが通貨となっている。
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