バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

東トルキスタン、大陸中国西北

敦煌-2 ~歴史(莫高窟)と大自然(鳴沙山)

2002年7月20日

この日は午前と午後に分けて、敦煌の2大スポットを訪れる。

午前中に訪れたのが、莫高窟。 洛陽の龍門、大同の雲崗とともに、中国三大石窟と並び称される仏教石窟だ。
午前9時、飛天賓館前の中庭でツアーバスに乗り込む。(このツアーは本来、4か所ほどを回るものだが、例えば莫高窟のみ参加などバラ掛けも可能だ)。車内には中国人は勿論、世界的に有名な観光都市だけあって、日本人をはじめとする外国人も多い。座席が近かったことから、その中にいた1人の西洋人と道中、言葉を交わした。 彼はスペイン人だったが、以前日本の仙台に留学した経験があるということで、英会話はいつしか日本語会話になっていた。
「日本は資本主義だけど、社会主義的な方法も使っている。中国は社会主義だというけど、実際には社会主義じゃない」と硬派な話をしたかと思うと「余は伊達藩じゃ!」などと突然、おかしなことを言い出す。ちょっと“変な外人”の部類に入るかもしれない。
莫高窟
莫高窟

莫高窟は、表に露出している龍門、雲崗両石窟とは異なり、石室の中に仏像や仏画が安置されている。しかも保存の便のためか、石室の扉は鉄製であり、いにしえの雰囲気をやや損ねている。内部の仏像や仏画も、かつてアメリカ人ウォーナーらに持ち去られたなどして破損している部分も多い。しかも、本当にいい石室は別料金を払わないと見られない仕組みになっている。
中央にそびえる九層楼(第96窟)など、莫高窟は莫高窟でそれなりに見ていて面白い。しかし、龍門や雲崗をイメージして行くと、期待を裏切られるかもしれない。

昼間には、敦煌市博物館を見学。博物館としては並みのレベルだが、シルクロードの要衝地たる敦煌の様子がよく分かる。団体客相手のガイドの話に時々、耳を傾けながら、敦煌の理解を深めることができた。

飛天賓館のドミトリーには、次々と日本人旅行者が入ってくる。午後7時、少し涼しくなったところで、日本人総勢4人で自転車を借りて、市街から少し離れた所にある鳴沙山へサイクリングに出掛けた。
鳴沙山
鳴沙山。中央に見えるのが月牙泉

入場料80元(留学生は半額の40元で済んだ)はやや高すぎる気はするが、ここの砂漠は確かに見応え、歩き応えがある。ラクダに乗って悠々と砂漠巡りをする観光客も多いが、客引きが予想外に熱心でなかったこともあって、私たちは徒歩で尾根を登ってみることにした。
傾斜がきつい上に、風も強く、あっという間に靴に砂が入ってきたりもして、砂の丘を登るのは傍目で見ていた以上に困難だった。しかし、丘の上から見る広大な砂漠と、中央に見える月牙泉を中心とする小さなオアシスの光景は、そんな苦労に値する見事なものだった。これぞ西北地方の風景、これぞシルクロードの風景である。
やがて日が落ちて、まん丸ではないものの、月が夜空に映えてくる。
月のー砂漠をーはるーばるとー
ついつい口ずさんでみたくなるほど、砂漠と、夜空と、月のコンビネーションが私たちを魅了した。

月の砂漠
月の砂漠

前日、ドミトリーの同室たちが夜遅く帰ってきたのは、やはりこの砂漠を訪れた帰りだったに違いない。私たちもホテルに戻ったのは結局、午後10時すぎだった。
帰りがけに市場でハミ瓜を買い、皆で味わった。ハミ瓜は東トルキスタン・ハミの名産物だが、敦煌はハミに近いので、この街の市場にも山と積まれている。一口かじってみると、甘みと汁気が抜群だ。これ程甘い瓜は初めてである。

敦煌の夜は今日で終わりになるが、この日行動を共にした日本人の1人とは、今後の旅程でも縁が続いていくことになる。

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