バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

大陸中国・重慶―三峡―赤壁

武漢、旅の終わり ~9年半ぶりの街

赤壁―武漢の道は、行きも通ったものの、昨夜は暗くて様子がよく分からなかった。明るい中で見ると、結構な悪路。石や砂利などこそ余り無いものの、土が剥き出しだ。ちょうどこれから舗装するようで、道のあちこちに穴があいており、工事車が幾つも停まっている。
しかし、確かに重慶―大足や荊州―武漢の高速道路と比べるとみすぼらしい道だが、よく考えてみれば、一昔前までは、どこもこれ以上の悪路だったのだ。
私が中国を訪れるようになって足掛け10年。道路事情は格段に良くなっている。
江漢路
雨の夜でも江漢路はにぎわう

夕方近くになって、バスはようやく武昌に到着。私は輪タクを拾って長江の船着場に行き、対岸の漢口へ向かう高速船に飛び乗った。

漢口・江漢路の中国銀行に営業時間ぎりぎりで飛び込み、両替を済ませた私は、その近くにあるホテルに向かった。9年半前にも泊まった璇宮飯店である。
中国銀行に向かって江漢路を歩いている時から、私はこの界隈の変貌ぶりに驚いていた。
9年半前は、古びた租界ばかりが印象に残っていた漢口の街が、ことこの江漢路に関しては、華やかな繁華街に変わっていた。歩行者天国になっている道の両脇には、色鮮やかな看板を掲げた店やデパートが建ち並んでいる。日も暮れて、雨も降っているというのに、人通りが絶える事はない。
あの時もここを歩いたはずなのだが、イメージが全くわかない。一つだけ確かなことは、当時はマクドナルドなど無かったということだ。
交通網の発達ぶりにも驚いたが、街の変わりようにも驚かされた。中国は間違いなく、日進月歩の発展を遂げている。この9年半で――そして、これからも。

9月29日

黄鶴楼
黄鶴楼
最終日の朝。飛行機の出発までまだ時間があったので、前回も訪れた黄鶴楼を再び上るため、再び長江を渡った。街の様相は変わったものの、眼下をゆったりと流れる長江の光景と、街に感じられる人々の息遣いは、相変わらずだ。

ホテルから空港まではタクシーを使うことにした。私はフロントに電話でタクシーを頼んだ。
穏やかで誠実そうな男が運転する車に揺られて、私は旅の出口・武漢空港に到着した。金を払おうと、私が財布を取り出すと、運転手はそれを制してにこやかに言った。
「料金なら、ホテルのチェックアウトの時に、まとめて払ってもらってますよ」
―― 何と良心的な運転手だろう。重慶では、余計なことばかりするタクシー運転手に随分怒らされたが、彼の誠実な態度には、それを忘れさせられる位、心が洗われた。

離陸する飛行機の中で、今回の旅を振り返っていた。
前回の、中国共産党支配下にある南モンゴルの旅が日本語漬けだったのに対して、今回は日本語を使うことは全くなかった。しかし、私の中国語力の衰えぶりは相変わらずで、ついつい英語に頼ってしまっていた。それでも、旅の初めに比べると、終盤には中国人とある程度はコミュニケーションが取れるようになっていた。

<完>

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