香港島南側 ~リパルスベイと香港仔
2000年5月1日
夏のにぎわいのリパルスベイ
中環からバスに乗り込んで向かったのは、香港島の南側にあるリパルスベイだ。香港随一のリゾート地であり、海辺にリゾートマンションが建ち並んでいる。
空調の効いたバスを降りるなり、暑く湿った空気に襲われた。ビーチに立っている温度計は30度を示している。既に海水浴客が大勢おり、完全に夏のにぎわいだ。
あまりに暑いので海に飛び込みたくもなったが、一人旅で荷物を見張ることもできないので、自重した。
海辺の光景もすがすがしくて良かったが、それより私の目を引いたのが、砂浜の東端にある天后廟だった。何やら宗教的な縁起物の像を集めた所のようだったが、仏教や道教が混在しているかのようで、どうも節操が感じられない。
カラフルで奇抜な彫刻の数々は、むしろ滑稽で、笑いさえ誘う。
本堂に至っては、売店や休憩所に使われている始末だ。
果たしてここに来る観光客たちは、信仰心を持って見ているのだろうか。むしろ、好奇の目でしか見ていないような気がして仕方がない。
次の目的地・香港仔へはミニバスで向かったが、この移動に、少々手間取ってしまった。
まず、どのバスに乗ればいいのかが分からない。初めは普通のバスを探したのだが、見つからず、ようやく「香港仔」の札を付けたミニバスを見つけ、それを止めて乗り込んだ。
しかし、乗り込んだはいいが、今度はどこで降りたらいいかが分からない。いつの間にか降りるべき所を過ぎてしまい、さっきも通った所に着くと、運転手が行き先の札を交換するではないか。
この時、初めて気が付いた。
このミニバスは、終点なしの巡回バスだったのだ。
危なく、元の場所に戻される所だった。
幸い、海の見える所だったので、私は慌ててそこで降りた。
この船の中で人が暮らしている
香港仔を象徴する光景が、漁船がずらりと並んだ海峡だ。
これらの船は、仕事の道具であるばかりではない。彼らの家なのである。よく見ると、船の上で洗濯物を干したり、料理をしたりする姿が見え、確かに香港人の生活の臭いがプンプンとしてくる。
いわゆる水上生活者は、高層マンションが次々と建てられた今、かつてほど多くはないというが、それでもかなりの数の船があるように、私の目には映った。
林立する高層マンション同様、香港の人口密度の高さを物語る光景と言えよう。
それはともかく、次に目指す水上レストラン・珍寶(JUMBO)への行き方が、またしても分からない。
取りあえずJUMBOのある方向へ海岸沿いに歩いていると、向こうから送迎船が近づいてくる。私はその船の行く方向を追いながら、ようやく船着き場にたどり着くことができた。
時間は2時すぎ。ちょうど昼のピークも過ぎた頃で、ゆったりと飲茶を楽しむことができそうだ。
観光名所にもなっているJUMBOは、ピークが過ぎたとはいえ、やはり観光客でにぎわっている。
店内を行き交う点心のワゴンには、漢字でメニューが書かれていて、ある程度どんな物かは分かるのだが、やはり食べ慣れていないものなので、具体的にイメージすることはできない。
しかし、私に"Are you Japanese?"と聞いてきたマネジャーらしき男性の計らいで、ワゴンを押しているおばさんが私にワゴンの中身を見せてくれることになった。
水上レストラン・JUMBO
JUMBOで出た点心
エビ蒸し餃子など3品を選んで食べたが、味はまあまあといったところか。
ただ、ちょっと味付けが濃すぎる気がした。何となく外国人の好みに迎合している印象もあって、本場らしい味がいまひとつ感じられなかった。
それでも、雰囲気は味わえたので、まあいいことにしよう。
ただ、ここは夜の電飾がきれいらしいので、できれば夜に来たかったのだが、どうしても前日の霧の夜景が悔しく、もう一度ビクトリア・ピークに行きたかったので、それはあきらめた。
ここ香港仔には、もう一つ、海洋公園という観光名所がある。
いわゆるテーマパークが幾つか集まった所で、私も歴史村あたりには興味があったのだが、最寄りの入り口を探しているうちに、時間が少なくなってしまった。
ここは次以降の機会に訪れることにして、私は中環に戻るバスに乗り込んだ。
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