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富士山

富士登山記 プリンスルート登山(2024年8月)

御殿場ルート7合5勺―富士山頂

2024年8月3日

富士山登山道の山小屋で迎える早朝。
山頂での御来光にこだわる人々は午前3時前に出発するが、私はもうこだわっていないので、4時半ごろにゆっくりと起床する。
ここ七合五勺でも御来光は問題なく見ることができる。4時50分、眼下に広がる雲海の「雲平線」の東に小さな赤い点が現れたかと思うと、みるみる大きくなり、見事な御来光が雲海を照らし出す。 写真
七合五勺から見る御来光
太陽が昇ったところで、山小屋で朝食を頂く。
食事を済ませて身支度を整えるが、ここ砂走館では、宿泊客は大きな荷物を預けて行くことができる。私は小さなザックとウエストポーチに必要な物を収め、不要な物を大きなザックに残して預けることにした。ウエアは山小屋到着時に加えてフリースの上着とレインウエア上下を重ね着し、山頂の寒さに備える。
5時27分、富士山頂に向けていざ、出発。
七合九勺の次の山小屋・赤岩八号館には30分ほどで到着。ここが営業を続けている御殿場ルート最後の山小屋だ。10分ほど腰を下ろして休憩を取って、登山を再開する。
程なくして八合目に到着。本来の「御殿場ルート最後の山小屋」であった見晴館の跡地を過ぎて右に針路をかえると、ここからがプリンスルート最大の難所である、山頂までの急登だ。道こそつづら折りになっているが、山肌は山頂に向けて一直線にも見えるくらいに切り立っていて、今まで辿ってきた道にも増して、傾斜も岩場の険しさも難易度が上がってくる。
そして何より、酸素が薄い。息が上がりがちになるので、呼吸のテンポが上がってきたら一度立ち止まって「スーーーー」「ハーーーー」と全音符で深呼吸をしてテンポを整える。こんな感じで、八合目を過ぎてからは10歩ほど歩いては呼吸を整える、を繰り返す歩みとなっていた。 写真
御殿場ルート八合目から先の山道
写真
眼下に宝永山を見下ろす
気が付けば、宝永山が、先程まで居た山小屋が遥か下に見える。しかし前を見ると、コースのきつさからか、山道がまだまだ先に続いているような気がしてしまう。「九合目」がはっきりと分からなかったこともあり、今自分がどのあたり居るのかが明確に把握できていなかったのである。
それでも、山頂は着実に近づいていた。このコースを登るのも3度目になる。「まだ先があるのか」だった気持ちが、これまでの経験が蘇ってある所から「あと少しだ」という気持ちに切り替わる。
そして間もなく、御殿場ルート頂上を示す白い鳥居が見えてきた。 写真
山頂が見えてきた
そして、7時35分...
その鳥居をくぐって、今年も無事、富士山頂に到着した。

到着するや否や、やったこととは...
レインウエアとフリースの上着を脱ぐことだった。
八合目から先、私を苦しめたのは急勾配や岩場の険しさ、酸素の薄さだけではない。暑さもあったのだ。
「裏目に出た」が2つあった。一つは装備を固めすぎたこと。
これまでの経験で、富士山頂は夏でも冬並みに寒い、ということが常識として私の頭にインプットされていた。しかし、この年の夏の暑さは尋常ではなかった。おまけに、この日の富士山の七合目から上は、遮るものの無い青空だった。頂上に向かって歩いている間に、寒くなるどころか、暑くなって汗すら噴き出してきたのである。もしかすると、これも地球温暖化の影響なのだろうか?
もう一つの「裏目に出た」が、ザックを山小屋に預けてきたことだった。サブとして持ってきたザックは小さすぎ、フリースの上着とレインウエアの下を収納したらもうパンパンだった。仕方がないので、レインウエアの上はそのまま着て歩くことなった。 写真
無事山頂に到着
これで一応、富士山頂には到着したが、やはりあそこまで行かなけば「登頂」とはならない。7時58分、御殿場ルート頂上を出発。山小屋・頂上富士館の横を抜けた先に見える急登・「馬の背」を登った先にある剣ヶ峰に行き着き、これでようやく本当の「登頂」だ。 写真
最高点・剣ヶ峰へと向かう急登「馬の背」
写真
剣ヶ峰山頂の三角点と碑
そのまま、山頂火口の尾根を1周して回るお鉢巡りにかかる。
昨日辿ってきた宝永火口も確かに、自然の猛々しさを感じさせてくれたが、火口面が粗い砂地でサラサラしているせいか、斜面は比較的なだらかだった。山頂を巡り歩いていて内側に見えるこちらの「お鉢」がそれより岩がちでゴツゴツとした印象があり、宝永火口以上に自然の猛々しさが伝わってきた。 写真
富士山頂火口
9時21分、お鉢を1周して御殿場ルート頂上に戻る。
20分ほど休んで9時41分、下山開始。

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