お鉢巡り、影富士
2022年8月6日
午前5時32分、頂上富士館前を出発。時計回りで富士山頂を一周するお鉢巡りに繰り出す。
すぐに富士山最高点・剣ヶ峰へと至る急登・馬の背が待ち受ける。初めてここを登った時は悪戦苦闘したものだったが、富士山を何度も登った今では何の苦も無く踏破することができた。
この馬の背は、ちょうど富士山頂の西面に差し掛かる位置になる。折しも朝。坂の左は太陽の反対側だ。となると、「あれ」が見えるのでは?
見えた。
眼下には五合目辺りに雲海が広がっているが、その真っ白な雲に、富士山の影が投影されているのである。
いわゆる影富士というやつだ。
前回の登山あたりから意識し始めたのだが、その時は富士山の上の雲が太陽を隠してしまって影ができず、空振りに終わってしまった。今回は、上空がすっきりと晴れ渡ってくれて、太陽がしっかりと富士山の影を創り出してくれた。
しかし、ここから見る影富士は、ちょっと山の壁に隠れてしまっていた。この先にもっと開けたところがある。そこまで行けばもっと見事な影富士を見ることができるはずだ。
「馬の背」から見た影富士
剣ヶ峰に至る階段剣ヶ峰に至る階段は長蛇の列になっていた。何度も登頂してはいるが、ここのてっぺんまで行かないと本当に「富士山登頂」を成し遂げたことにはならない。私もしっかり並んで「日本最高峰富士山剣ヶ峰」の石碑まで到達し、今回も本当の「富士山登頂」達成となった。
剣ヶ峰から少し歩くと、巨大な涸れ沢が富士山の胴体をうがつ大沢崩れに到達する。ここは富士山の西側が一番広く眺望できるスポットだ。
ここからならすっきりと見えるだろうと思っていたが、案の定だった。
完全体の影富士影富士の完全体を、雲海の上に見ることができた。
富士山に登る度に目標がいろいろできてくるが、これでまた一つ、富士登山の目標を達成することができた。今度は雲ではなく、地面に映える影富士も見てみたいものだ(また目標が一つ増えた)。
富士山の「お鉢」
雲をついて口を開ける宝永火口その後、時にかつての噴火口の中を歩き、時に麓を見下ろす稜線を歩き、吉田ルート・須走ルート側の登山ルート終点を経て、雲をついて口を開ける宝永火口を横目に、富士山頂外周を一周し、6時42分、出発地点の頂上富士館前に到着。途中で写真撮影で足を止めたりしながら、標準コースタイムの1時間半を上回る1時間10分で歩き切った。
これから下山するルートを見下ろす筆者さて、後は下山するばかりだ。
富士宮ルートは登山ルートも下山ルートもほんの一部を除いて全く同じだ。このルートは今回も含めて2度登ったが、1回目は別ルートで下った。今回は「富士宮ルートを下る」というのが自分に課した課題だったが、正直、登った時に味わった急斜面で足場の狭い岩場、滑りやすい粗い砂地、大きな段差は、登りよりも下りの方が気を遣わせられそうだ。
登りの時は上にベクトルが向いているので足を滑らせても下へのベクトルが相殺されるが、下りは下にベクトルが向いているので、足を滑らせると落下エネルギーが上乗せされてしまう。なので私は、下山に対するちょっとした恐怖心が、何度も山下りを経験しても未だに拭えないのだ。
とはいえ、仮にも「富士山リピーター」なら通らなければならない道だ。私は無事の登山終了に向けて、いざ下山を開始した。
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