須走登山口―六合目
2016年7月21日
9時40分、須走登山口を出発。いよいよ富士登山のスタートだ。暫くは、背の高い木々に覆われた比較的緩やかな山道を歩く。
ちなみに、須走以外のルートでは出発するとすぐに森が無くなってしまうそうで、これだけ鬱蒼とした森の中を歩ける富士登山コースは須走ルートぐらいとのことである。
古御嶽神社を過ぎて程なくして「標高2000メートル」の標識が見えてきた。この数字だけを見ると既に結構な高地なのだが、スタート地点の時点で1970mあったのである。つまりは、まだ30mしか登っていないのだ。この先の標高差は更に1700メートル以上――ここまで登った標高差は全体の2%にもならないことになる。当たり前だが、ゴールはまだまだ先だ。
やがて、道の両側の木々は低木へと姿を変え、10時50分ごろ、標高2300mのポイント近くにさしかかると、突如としてその低木すら姿を消し、周りに見える植物は草花だけとなった。上の方に目をやるとまだ低木が生えているのが見えるので、森林限界はまだ先のようだが(標高2700mあたりとのこと)、もはや先ほどまで生えていた大木の姿を見ることはできない。
視界が開けた場所から下界の方を望む
雨足が弱まって視界もやや良くなったこともあって、にわかに開放感が増して、テンションも上がった。しかし、富士の頂は相変わらず霞の向こうだし、下界に見えるのも雲ばかり――無論、雲海の景色というのもいいものなのだが、私は富士山から下界を望みたいという願望もあったので、ちょっともの足りなかった。
ここらでちょっと休憩。可愛い高山植物を愛でて心を和ませる。
ホタルブクロ
イタドリ
「あっちに(下山道の)砂走が見えますよ」
案内人の小林さんが言う方向を見ると、山裾に開けた斜面が見える。この時は数こそ少なかったが、登山者(下山者)の姿も見ることができた。
大砂走
「砂走」とは、砂地の斜面を、砂の滑りを利用して勢いよく下っていく下山ルートだ。登山者(下山者)が立てた砂煙も時折見える。
私たちも明日、この道を下ることになるが、それは帰りの話。まずは頂上に到達しないと。
再びやや低めの木々に覆われた道に入る。そして、また少し雨が強くなってきた。
11時20分。標高2400mポイントの新六合目 長田山荘に到着。しかし...
「『D通』の団体さんが大勢で間もなく来てしまうので、すみませんが小屋の中は使用できません...」
とのこと。そういうことなら仕方がないが、ここらあたりで気温低下に備えて装備を増やしたい(重ね着をしたい)ところだったので、隣接する倉庫をお借りして着替えをして、再び登山に臨む。
長田山荘からも暫くは雨の中、やや低めの木々に覆われた道を進む。
標高2600m地点に近づいた12時20分ごろ、にわかに木々の背丈が低くなった。先述したように、このコースの森林限界は2700mあたり。そこに近づいてきている証拠だ。また視界が開けた格好だが、今回はまだ霞が結構厚い。
同時に、山小屋が見えてきた。2620m地点にある本六合目の瀬戸館である。ここで一休みすることになった。
ここまでの雨でレインウェアは濡れ、靴とロングスパッツは泥だらけになってしまったが、山小屋の中を濡らしたり汚したりすることはご法度。外したり着けたりするのは実に面倒なのだが、これらの装備を一旦外して山小屋の中にお邪魔する。
山小屋の中はこんな感じ
休憩させていただくからには、何かを買うのがマナー。雨で体を冷やしてしまった私たちは、全員一致で
「豚汁!!」
そして、ちょうどお昼時である。持ち込みは全く問題ないので、用意していた弁当を頂くことにした。
私が用意した昼食は...
あんパン、クリームパン、ゼリー、スポーツドリンク。
登山はエネルギーが重要なので、食事は炭水化物と糖分が豊富で、手軽に食べられるものがいい。この選択が正しかったことは間違いないと思うが――豚汁とは合わなかった(笑)。
エネルギー充填が完了したところで、再度装備を整えて、13時5分、出発。
ここまで登ってきた標高差:650m
ここまでの所要時間:3時間25分(瀬戸館での休憩時間含む)
頂上まではあと、標高差約1100mだ。まだ先は長い。
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