バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

スリランカ、インド

ポロンナルワ-3 ~遺跡公園を巡る(2)

2015年5月1日

遺跡公園内で働く地元の子どもたち
遺跡公園内で働く地元の子どもたち
古都ポロンナルワの中心部を囲んでいた城壁の外側のエリアに出て、密林の中を抜ける通路を自転車で走り抜ける。主だった遺跡へ向かう間にも、ちょっとした遺跡が通路のすぐわきに横たわっている。
その通路を、焚き木にすると思われる木の枝を山ほど抱えた地元の子どもたちが歩いている。彼らは日常としてこのポロンナルワの歴史に触れながら育っているのだ。

やがて左手に、ランコトゥ・ヴィハーラという、12世紀創建の茶色いダーガバ(仏塔)が見えてくる。ダーガバの遺跡ならここまで来る間にも見てきたが、このダーガバは直径、高さとも50mを超す、どこよりも大規模なもので、頂の尖塔まで形を留めている。
ランコトゥ・ヴィハーラ
ランコトゥ・ヴィハーラ
ちなみに、「ランコトゥ」というのは「黄金」の意味だそうで、その尖塔がかつては金で覆われていたという。その姿を想像すると、ポロンナルワ王朝の繁栄ぶりまでもが目に浮かんでくる。

更に北へ500mほど進むと、ランカティラカと、そのすぐ北にキリ・ヴィハーラが隣接して建っている。
ランカティラカは、細長い土台の上に細長いコの字型の壁が残る13世紀創建の寺院遺跡だ。入り口から長く延びている通路の奥に立つ頭部を失った仏像が、この遺跡に神聖で厳かな雰囲気をもたらしてる。
キリ・ヴィハーラはダーガバだ。「キリ」とは「ミルク」の意味で、白い漆喰で覆われていたことからこの名前がついた。その痕跡が「一部に」残っているグレーのダーガバということだったのだが、ここ数年の間に修復が施されたようで、塔全体が不自然なくらいに真っ白になっており、やや興ざめだった。

ランカティラカ
ランカティラカ
キリ・ヴィハーラ
キリ・ヴィハーラ

自転車で遺跡を回っているうちに、スリランカの熱帯の暑さに体力をかなり奪われてしまった。途中でミネラルウォーターを買い足したりもしたが、それもそう長くはもたない。その上、お昼時を迎えて空腹感にも襲われてきた。
幸いにも、キリ・ヴィハーラの北側に売店があり、そこで軽く昼食をとって空腹感を満たし、追加で炭酸飲料を買って乾きを癒やした。

ガル・ヴィハーラ
ガル・ヴィハーラ

その売店から歩いて行ける場所に、ポロンナルワを代表する遺跡があった。
ガル・ヴィハーラは、巨大な岩から坐像、立像、涅槃像の3体の優美な大仏と小さな仏像1体が切り出された寺院跡だ。いずれもスリランカの仏像によく見られる高い鼻と厚い唇が特徴的な仏像で、その穏やかな表情は見ている者の気持ちまで穏やかにしてくれる。間違いなく、スリランカ仏教美術の最高傑作と言って過言ではないだろう。

再び自転車を漕ぎ始め、北へ向かう。疲労感は否めないが、遺跡公園の北の果てまでもうあと少しだ。
蓮の池
蓮の池

途中にあった蓮の池は、蓮の花の形が何重にも重なった段々状の池。かつては僧が沐浴に使っていたというが、仏教ゆかりの蓮をかたどった池にご利益や仏道を求めたのだろうか。

そして、ついに到達した遺跡公園一番奥にある遺跡が、ティワンカ・ピリマゲ寺院だ。工事中で足場が組まれていたため外壁を近寄って見ることはできなかったが、この寺院の本命は内部にある。
入ってまず目につくのが、一番奥に建っている仏像。頭と両腕がもがれてしまっているが、その立ち姿だけでも優美で厳かな気品を十分に発している。
ティワンカ・ピリマゲ寺院
ティワンカ・ピリマゲ寺院
そして、何と言っても壁に描かれた13世紀の壁画だ。フラッシュ禁止でろくな写真が撮れなかったが、その微細なタッチ描かれた仏教の世界は今も目に焼き付いている。

これで見るべき場所は全て見た。あとは来た道を戻るだけ――と自転車のペダルを漕ぎ始めたが、僅かに蓮の池を過ぎたあたりで、体に異変が発生した。

両方の太腿に激痛…。

悲鳴とともに路肩に自転車を投げ出し、両足を投げ出すようにして座り込んで、暫くは立ち上がることすらできなかった。
幸いにも時間はまだ十分にあったので、慌てすそのままじっとして太腿をマッサージしたりしていると、どうにか自転車を漕げるくらいにまで痛みは引いてくれた。
やはり水や炭酸飲料ばかり飲んでいてはミネラルの補給が絶対的に足りない。スポーツドリンクでもあれば最適なのだが、スリランカではついぞ見かけることは無かった。スリランカに行くなら、スポーツドリンクの粉末は必需品かもしれない。
宿から見える田園地帯の夕景
宿から見える田園地帯の夕景

幸いにも痛みが再発することはなく、無事宿に戻って自転車を返すことができた。
宿の部屋にバスタブでもあれば脚の疲れをもっと癒やすこともできるのだが、そんな洒落たものは無い。ひたすらマッサージをするしかなかった。
とはいえ、宿の裏手に見える田園地帯の夕景を見ながら、宿が用意してくれたささやかな夕食を食べたりしてリラックスすることができたので、気分的な疲れはかなり癒やすことができた。

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