バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

スリランカ、インド

キャンディ-1 ~コロニアル建築の町並みと仏歯寺

2015年4月29日

キャンディ湖
キャンディ湖
キャンディはシンハラ人のキャンディ王国が、イギリスに滅ぼされる1815年まで都を置いていた古都だ。人口がスリランカの上位10位に入る都市だが、それでも12万人程度。街中の道路はバスや乗用車やトゥクトゥクが行き交うが、渋滞が起きる程でもない。人工湖のキャンディ湖に抱かれて、古都らしい落ち着きのある賑わいを見せている。

この街に落ち着きを与えているもう一つの要素が、キャンディ湖のほとりに建つクイーンズ・ホテルをはじめとするコロニアル様式の建物だ。イギリスなどの西洋列強の侵略時代に建てられたものだが、不思議とこの街の雰囲気に合っている。文化的バックグラウンドが仏教とキリスト教と、全く異なっているにもかかわらず、ヨーロッパ式がスリランカ式を呑み込んでしまっている訳でもないのに、うまい具合に調和しているのだ。目抜き通り沿いにはコロニアル建築とスリランカ風建築が並んでいる場所すらあるが、決して違和感は無い。
一つ思ったのは、コロニアル様式は確かに重厚で存在感があるが、壁の色は白が基本で、装飾もそんなにごてごてしてはおらず、意外と華美ではないということだ。だからこそ、コロニアルの建築物は決してスリランカの町並みと喧嘩せず、むしろこの街の「古都らしい落ち着き」を増す存在になっているのかもしれない。

コロニアル様式の建物が建つキャンディ市内
コロニアル様式の建物が建つキャンディ市内
クイーンズ・ホテル
クイーンズ・ホテル

キャンディ一番の名所は、キャンディ湖畔にたたずむダラダー・マーリガーワ寺院。「仏歯寺」という通称もあり、その名の通り、ブッダの歯を祀る寺院だ。仏歯は4世紀にスリランカにもたらされたとされ、王朝の遷都のたびに移動して最終的にここに落ち着いたという。
ダラダー・マーリガーワ寺院(仏歯寺)
ダラダー・マーリガーワ寺院(仏歯寺)
ここの入場はガードが堅い。入り口ではセキュリティ・チェックがあり、半ズボン、ミニスカート、タンクトップお断りとドレスコードも厳しい。日差しの強いスリランカでは必需品の帽子も、仏様に敬意を払ってここでは脱ごう。
境内に入ると一直線の参道の向こうに八角形の低い塔と、その背後に本堂が見える。17世紀初頭に創建された寺院だが、再建を経ているためか古びた印象は無い。スリランカ伝統の瓦屋根が日本の寺院と共通しているが、外壁が白い石壁である点が日本の寺院とは異なる。
本堂に入る前に、今度は靴を脱がなければならない。靴を預けて本堂に入り、いざ仏歯とご対面…
とはいかなかった。仏歯堂の扉が開かれるのは5時半、9時半、18時半に行われるプージャーという儀式の時だけ。しかも見ることができるのは仏歯の入った黄金の容れ物だけだ。私がここを訪れたのは昼すぎで完全にプージャーの時間からは外れていた。

仏歯堂
仏歯堂
仏歯寺2階で祈りを捧げる人々
仏歯寺2階で祈りを捧げる人々

2階に上がると、大勢の敬虔なスリランカ仏教徒たちが祈りを捧げていた。その祈りの先にある黄金の扉の向こうに、仏歯は安置されている。容れ物すら見ることのできない時間帯にもかかわらず、彼らの信仰心には一点の陰りも見られなかった。
各国から寄贈された仏像
各国から寄贈された仏像(左端が日本のもの)
仏歯だけではない。仏教のある所、必ず仏像はある。この寺院にも、日本を含む世界各地から寄贈された仏像の数々が安置されていた。中でも、中央に座しているタイ様式の黄金仏などは、小さな寺院ならご本尊になってもおかしくないほど立派なものだった。しかし、仏歯という押しも押されぬ大主役がいるこの寺院では、そんな立派な仏像でも脇役に甘んじざるを得ない。
ところで、この寺院では仏歯堂の前や仏像の前に、象牙がアーチを形成するようにして飾られているのが目に留まった。どうやら結界の役割をしているようなのだが、こういうところに象牙が使われているのがいかにもスリランカらしい。
象で思い出したが、キャンディ近郊には「ピンナワラのゾウの孤児園」という見どころがある。少し興味があったのだが、時間の都合で今回は断念せざるを得なかった。

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