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世界への旅(旅行記)

ギリシャ、カタール、香港

アテネ-2 ~アクロポリス、パルテノン神殿

2011年4月30日

ディオニソス劇場
ディオニソス劇場
朝早くから、アテネ最大の名所であるアクロポリスに向かう。余りに気合を入れて早く行きすぎ、開場時間まで少々待たされた。

丘の東南にある入場口をくぐって、アテナをはじめとするギリシャ神話の神々を祀ったパルテノン神殿のある丘の上に向かう途中、まず見えてきたのがディオニソス劇場だ。2000年以上の時を経た今でも、舞台を中心に半円状に造られた、ほんの一部ではあるが現存する座席が当時の様子をしのばせてくれ、舞台も殆ど原形を留めていないものの、最前部に刻まれた人々(神々?)のレリーフだけが辛うじて残っていた。
舞台があった場所の背後には、建物の残骸が残っていた。柱が何本か立っている以外は朽ち果てるようにして地面に横たわっており、恐らくこれらを元の形に戻すのは不可能だろう。往時の様子は想像するか、再現図を見るかでなければしのぶことはできない。

更に坂道を上って丘の上に向かう途中、大規模で傾斜の急な劇場がある。イロド・アティコス音楽堂だ。実は開場時間までの暇つぶしに近くを歩き回った時、既にこの音楽堂を下から覗き見ていたのだが、今回はそれを上から見下ろす格好となった。

イロド・アティコス音楽堂
下から覗き見たイロド・アティコス音楽堂
イロド・アティコス音楽堂
上から見下ろしたイロド・アティコス音楽堂

往時の規模はディオニソス劇場の方が大きかったようだが、こちらは座席がほぼ完全な状態で残っているためディオニソス劇場よりも立派に見える。
いずれにせよ、2000年以上の昔にここまで整備された施設が造られていたこと、そしてそれ以上に、このような立派な劇場で演じられるにふさわしい演劇や音楽が既に発達していた古代ギリシャ文明の先進性には驚嘆を禁じ得ない。

場内を東から西へと巡って、さあ、いよいよ長年待ち望んでいたパルテノン神殿とのご対面だ。
プーレの門をくぐるとその先には階段の上に、重厚感のある立派なプロピレア(前門)が立ちはだかっている。そこをくぐった先にあったのは…

プロピレア(前門)
プロピレア(前門)
パルテノン神殿@工事中
パルテノン神殿@工事中

工事の足場やクレーンがむき出しのパルテノン神殿…

[え? 何だよ、この興ざめな姿は…]

パルテノン神殿にお目にかかることができた満足感は、その姿哀れなを目にした失望感ですっかり相殺されてしまった。100年の夢が醒めた思いだった。
想像していた以上に破損しているので修復が必要なのは分かる。しかし、それにしても足場やらクレーンやらが余りに露骨に見えてしまっているのは、もう少しどうにかならなかったものだろうか。これでは神殿ならではの神々しさが完全に損なわれてしまう。
パルテノン神殿
工事の様子が極力見えないように撮影したパルテノン神殿
とはいえ、がっかりしてばかりもいられない。ここは腕の見せ所だ。極力工事中の要素を排除した神殿の写真撮影を試みる。
そして、全体を見てがっかりさせられても、細部を見て楽しむという観察方法もある。エンタシスと呼ばれる曲線を帯びた円柱の形状、それらの柱に支えられた屋根部分の緻密なレリーフなどに、古代ギリシャの芸術性や技術の高さを感じることができる。

それに、アクロポリスで見るべきはパルテノン神殿だけではない。その傍らに建てられたエレクティオンは無粋な工事の足場等に邪魔されることなく、古代ギリシャの建築を楽しむことができる。そして建物以上に、パルテノン神殿を見守るようにして安置されている5人の少女像が印象に残った。(但し、建物は再建されたものであり、少女像はレプリカで本物は博物館に収蔵されている)

エレクティオン
エレクティオン
 
アクロポリスからの風景
アクロポリスから見下ろすアテネの街。
右側に見えるのがゼウス神殿

また、高台なのでアテネの街を俯瞰することもアクロポリスの楽しみ方だ。麓のプラカの街並みをはじめ、リカヴィトスの丘、ゼウス神殿などを手に取るように見ることができる。

確かに、工事中の無粋な姿をしたパルテノン神殿を見たその時こそがっかり感の方ばかりが先立った。しかし、工事中の様子を何とかうまくぼかした写真を撮ることができたこと、神殿を見る以外の楽しみ方ができたこと、そして、長年の夢だったパルテノン神殿をこの目にすることができたのは紛れもない事実だということ ―― それらのことから、今ではがっかり感よりも満足感の方がはるかに上回るようになっている。

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