バス憧れの大地へ

世界への旅(旅行記)

ジャワ島(インドネシア)、シンガポール

シンガポール ~再び

2010年5月5日

シンガポールに到着したのは正午前。日本への便の出発時間は23時45分 ―― 実に半日の待ち時間となる。
往路の待ち時間もかなり長かったが、夜中だったので空港の外に出ることはしなかった。今回は昼間 ―― 言うまでも無く、入国手続きをして街中へと繰り出した。
シャッタースピードを変えて撮影したマーライオン
シャッタースピードを変えて撮影した
マーライオン。上から高速・中速・低速

とはいえ、シンガポールは2007年に続いて2度目。しかもその時、2日で飽きてしまってすぐにマレーシアへと抜けてしまっている。街並みも物価も日本と殆ど同じで、新鮮さに乏しく感じられたのだ。
だからこそ今回は何か新しい発見を求めるべきところだったが、結局は前回歩いた所をトレースするだけに終わってしまった。

MRT(地下鉄)で街中に出て、ブギスで下車。そこからラッフルズ・ホテルセント・アンドリュース教会シティホール最高裁判所ラッフルズ像を横目に南下し、マーライオンのあるマリーナ・ベイへと抜ける。
マーライオンは相変わらず、海に向かってにらみを効かせつつ、大きく開いた口から一筋の水を勢いよく吐き出している。
再びマーライオンを訪れたのには、一つの理由があった。この時私は写真教室で一眼レフを本格的に学ぶようになっていて、5月の課題として「シャッタースピード」を課されていたのである。水を吐き出すマーライオンは、シャッタースピードを変えて撮影すると見事に撮り味が変わってくる(右の写真参照)。

それにしても、さすがは赤道直下、インドネシア以上に暑い。少し涼もうと、近くにあったアジア文明博物館に入る。
ここも2度目の訪問となるが、前回は東南アジア初訪問のまさに第一歩の段階、即ち東南アジアに関する知識がまっさらだった状態だったので、「へえ、そうなんだ」という新たな発見ばかりだったが、東南アジア各地を巡った後の今回は「そうそう、こんな感じなんだよな」という“共感”のようなものを抱きながら見ることもできた。

再びマーライオンに戻って名残りを惜しむかのように写真撮影をした後、再び歩いてブギスに戻る。

観音堂で熱心に祈りを捧げる人々
観音堂で熱心に祈りを捧げる人々
スリ・クリシュナン寺院
スリ・クリシュナン寺院

ブギスの一角には、シンガポールの多民族・多文化を象徴するかのように、仏教の観音堂とヒンドゥー教のスリ・クリシュナン寺院が並んでいる。前回訪れた時は、チベット訪問で芽生え始めていた自らの仏教心を自覚したものだったが、今回は自分のことよりも人々の祈りのスタイルに心が引かれた。
観音堂では、日本のお寺で参詣する人々とは比べ物にならない程の篤い ―― と言うよりは“熱い” ―― 信仰心でみなぎっている。老若男女問わず大勢の人々が、長い線香の束を顔の前にかざして深々と祈っている。よく見ると、観音像の方ばかりではなく、寺院の外に向けても祈っていたが、あれは何に対して祈っていたのだろう…。
いずれにしても、これ程までに熱心に祈ることができるというのが羨ましくも感じられた。そして、その様子を写真に撮りながら、こんなことを考えていた。

[“祈り”をテーマに写真を撮ってみたいな]

と。
さて、一方のスリ・クリシュナン寺院は ―― なぜか祈りを捧げる人もおらず、閑散としていた。
シンガポールの安食堂
シンガポールの安食堂

安食堂で夕食をとった後、フライトまではまだ5時間程あるのだが、空港に引き返すことにした。少し疲れを感じるようになっていたのである。
どうやら、暑さに中ってしまったようだった。
歩くというのはいい習慣なのだが、赤道直下の常夏の中でめったやたらに歩いたのは少しまずかった(インドネシアからの蓄積もあったのかもしれないが)。
空調の効いたMRTで空港に戻った後も、水分を補給しつつ空調の効いたターミナル内でひたすた待つ。しかし、空港のベンチは座り心地が悪く、なかなか体を癒せない。
5時間以上待って、ようやく搭乗。エコノミークラスとはいえ、クッションの効いたリクライニングの座席は天国だった。日本に着くまでひと眠りして、ゆったりと疲れを癒す。

昨年はペルーを訪れて、念願のアジア脱出を実現した。しかし、今回はまたしてもアジアに回帰した。安くて近いということ、今回はボロブドゥールという明確な目的があったこともあるのだが、要はアジアが自分の肌に合っているのだろう。
しかし、まだ見ぬ文化をこの目にしたいという欲求も根強くあるのも間違いない。

よし。次はまた、アジア以外のどこかに行こう。

<完>

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