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富士山

富士登山記 須走、御殿場ルート登山(2018年7月)

御来光、下山

2018年7月26日

富士山の朝は早い。午前4時、起床。身支度をして山小屋の食堂で朝食をとった後、夜を徹して登ってきた登山客と入れ替わるようにして、山小屋を後にする。
早朝の山小屋の食堂
早朝の山小屋の食堂

まだ暗い中を「お鉢」を時計回りに少し歩いたところの成就岳で、一旦足を止めて東の空を見つめる。眼下には雲が広がっているが、上空の雲は薄い。いい条件だ。
次第に空が明るくなってくる。そして、午前4時47分、雲海の向こうに赤い太陽がちらりと顔を出した。
富士山頂から望む御来光
富士山頂から望む御来光

御来光
昨年に続き、見事な日の出を拝むことができた。
「お鉢」の反対側に目をやると、昨日登った最高峰・剣ヶ峰が朝日を浴びて赤く染まってる。何とも神々しい風景だった。
朝日を浴びる剣ヶ峰
朝日を浴びる剣ヶ峰

更に「お鉢」を時計回りに進み、御殿場口頂上に到着。ここの鳥居をくぐった先が御殿場ルートだ。今回の下山はこのルートを取ることになっていた。私にとっては初めての御殿場ルートである。

午前5時16分。下山開始。
御殿場口頂上
御殿場口頂上
御殿場ルート
御殿場ルートを見下ろす。宝永山も見える

この時の天気は、晴れ。下界には雲海が見えるが、途中までの眺望は良好。進行方向には、1707年に起きた富士山の最も新しい噴火である「宝永大噴火」によってできた宝永山がよく見える。
道は石だらけの急斜面。慎重に慎重にと足を進めていたが...

 ズルッ

やってしまった。私は足を滑らせて転倒してしまった。
幸い、体の方は無傷で済んだが、急激に体重をかけてしまったせいで右手に持っていたストックが少し曲がってしまった。使えなくはない程度の曲がり方だったが、このストックは今回の登山が最後のお役となるだろう。

54分かけて、一気に八合目まで下り、午前6時10分、赤岩八合館に到着。当時の皇太子・徳仁親王(今上天皇)もお泊りになったという山小屋だ。
ここで朝食。ご飯と目玉焼きと味噌汁の朝定食を頂く。(ちなみに夕食はカレーがお代わり自由らしい)
赤岩八合館で頂いた朝定食
赤岩八合館で頂いた朝定食
わらじ館
わらじ館。ここから先には山小屋は無い

午前7時8分、赤岩八合館を出発し、午前7時30分、七合四勺の山小屋・わらじ館に到着。
ここから先は、五合目登山口近くの茶屋まで、登山客のための施設は一切無い。ここからが、御殿場ルート下山の本番だ。

下っていくうちに、宝永山が目の前に近づいてきた。これまで遠くから見るばかりだったあの「富士山のこぶ」が間近に迫る。想像以上の迫力だった。
「プリンスルート」(上記の皇太子徳仁親王が通った、宝永山旧火口を歩くコース)との分岐点近くで小休止をとった後、いよいよ御殿場ルート下りのハイライトが待っている。
宝永山
宝永山

ここから先の斜面は、目の細かい砂地で、ここを下る際には足をその砂地に滑らせるようにしていく。いわゆる「砂走り」である。砂走りは一昨年昨年に須走ルートでも経験していたが、御殿場ルートのそれは須走ルートのものよりも長く、「大砂走り」と呼ばれている。

午前8時16分、小休止を終えて出発。程なくして、地面の砂の目が細かくなってきた。大砂走りのコースに足を踏み入れたのである。

 ザッ
   ザッ
     ザッ

砂を踏みしめる音が心地良い。天気が良く、砂も乾いているので、足を進める度に勢いよく前に滑って、大きな砂煙が舞う。
一昨年、初めて砂走りに挑戦した時は、コツがなかなか掴めずに同行していた皆さんに後れを取ってしまった。
昨年、2度目の挑戦では、コツは前回の後半で掴んでいたものの、砂が重くなかなか気持ちよく滑ることができなかった。
今回は、コツも既に掴んでいて、しかも砂のコンディションもいい。私は、ベテランの男性参加者の1人に続いて2番手の位置で富士山の斜面を滑走していった。
大砂走り
大砂走り

暫く滑り下りていったところで、先頭の男性と私は足を止めて他の皆さんを待つことにした。
参加者の皆さん次々と下りてくる中、1人にトラブル発生。片方の靴底が大きく剥がれてしまったのだ。リーダーの小林さんがてきぱきと応急処置をして、再出発する。

そしてここで、大きく状況が変化した。これまで一貫して好コンディションだった天候が、ここにきて遂に崩れてきたのである。
辺りはあっという間に雲に覆われ、そして雨が降ってきた。今回は天気に恵まれた登山になったと思っていたのだが、やはり富士山の天気は手強い。そうすんなりとは終わらせてくれない。
雨水を吸った砂地は重くなり、砂走りもここで終了。ひたすら雨の中を、通常のペースで下り続けた。

午前9時47分、ようやく雨風をしのげる大石茶屋に到着。ここで休憩後、ゴール地点に向かう。

午前10時3分、御殿場登山口に到着。今回の富士登山が無事終了した。
御殿場登山口
御殿場登山口にゴール。最後の最後に天気が崩れた

バスで御殿場駅に戻った後、御殿場市内のスーパー銭湯で登山中の汗と垢を流し、食事とビールで互いの労をねぎらう。

私にとって3度目の富士登山となった。御来光を2度見ることができたこと、「正真正銘の日本最高地点」に立つことができたこと、初めて御殿場ルートを歩いたこと、大砂走りを経験したことなど、いろいろな思い出ができたが、今回の登山で特に大きかったのは
・富士登山に必要な体力について、大いに自信をつけたこと
・「富士山における信仰」というテーマを持って臨めたこと
だった。
今後も富士山に登ることは何度もあることだろう。しかし、漫然と登るのではなく、今回のように何かテーマを持って登れたら、より意義のある登山になることは間違いない。

次はどんなテーマで、富士山を登ろう?

完

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