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富士山

富士登山記 須走、御殿場ルート登山(2018年7月)

お鉢巡り、剣ヶ峰

2018年7月25日

山頂の山小屋「山口屋」に大きな荷物を預けた私たちは、富士山の山頂を1週する「お鉢巡り」に出発した。
お鉢巡りは、一昨年昨年もやっているが、いずれも早朝の御来光後に、山頂を時計回りに巡るものだった。しかし今回は午後の時間に、反時計回りに巡るという、初めてのパターンとなった。
「内院コース」に入る
「内院コース」に入る

吉田・須走登山ルート終点から久須志岳を過ぎ、そこから旧火口の内側を歩く「内院コース」に入る。
少し歩くと、白い石碑が立っていた。「金明水」と書かれている。富士山頂の雪解け水が溶岩の間から染み出している泉とのことだ。今回の富士登山は「富士山にまつわる信仰」のスポットを巡るというテーマがあったが、この泉も山頂から出る貴重な水の出処ということで信仰の対象になっている。
金明水
金明水
金明水の水は山頂の売店でペットボトル入のものが売られているが、普段山小屋の煮炊きなどに使われている水は、下の写真のように、残雪から直接とっているとのことだった。
富士山頂の山小屋の水は残雪からとっている
富士山頂の山小屋の水は残雪からとっている

剣ヶ峰が見えてきた
剣ヶ峰が見えてきた

そして、お鉢巡りスタート地点の吉田・須走登山ルート終点からほぼ半周の位置に、「山の上の山」が見えてきた。正真正銘、日本の最高地点である剣ヶ峰だ。
ここも3年連続で来ている場所であり、3年連続でしっかり「日本最高峰富士山剣ヶ峰」の碑の前で記念撮影をする。
「日本最高峰富士山剣ヶ峰」の碑の前で記念撮影
「日本最高峰富士山剣ヶ峰」の碑の前で記念撮影
こここそ真の「日本最高地点」
こここそ真の「日本最高地点」
しかし実は、ここですらまだ本当の「日本最高地点」ではなかった。碑の更に少し奥にある、旧火口にせり出した火山岩こそが"真の日本最高地点"だったので、こちらでも1枚。

「日本最高地点」を十分満喫したところで、剣ヶ峰を下りることになるのだが――富士山頂を反時計回りに巡る場合、ここに至る急斜面「馬の背」を下ることになる。
上るのも大変な坂であるが、下るのも相当大変な坂だ。足を滑らせでもしたら最後、坂の下まで転がり落ちて大怪我をしかねない。柵の支柱に手をかけるなどして勢いを殺しながら、ゆっくりゆっくりと進むしかない。
「馬の背」を下る
「馬の背」を下る

「馬の背」を無事下りきったところで、リーダーの小林さんに案内されて、山小屋「頂上富士館」裏手のある場所に案内された。
そこにあったのは、地面に置かれた高さ数十センチ程度の小さな石像の数々だった。召し物から仏教のものであることは一目瞭然だったが、様子が変だ。どれも頭がもがれていて、辛うじて頭が残っているものも顔がえぐられている。中には、頭の代わりに石ころが載せられているものもあった。
これは、間違いない...
首をもがれた仏像たち
首をもがれた仏像たち
廃仏毀釈の爪痕ですね」
と小林さん。
やはりそうか...。
「廃仏毀釈」とは、明治初期の「神仏分離令」を機に発生した、仏教に対する施設破壊や財産・特権剥奪などの弾圧運動である。かつて富士山に存在した仏教信仰に対してもその嵐が吹き荒れたということは、話には聞いていたが、こんな所にその爪痕が残っていたのか...
「だから宗教が国家権力と結びついちゃ駄目だって言うんだよ」
誰かが言ったその言葉に、私も心の中で同意した。

現在、富士山頂は浅間神社の私有地となっている。とは言え、仏教を信仰する富士山愛好者としては、富士山における仏教の復興は念願してやまないところである。何とか実現の道筋は無いものだろうか...。

暫くその近辺を散策した後、山小屋に戻る。
定番のカレーライスの夕食を頂き、この日の活動は終了。あとは寝るだけだが、見事な「鰻の寝床」で、一人分の幅がかなり狭い。おまけに、登っている最中にうっすらと感じていた頭痛が少しばかり顕著になってきた。寝る前に頭痛薬を飲み、深呼吸をしたり酸素缶を吸ったりするなどの対策をとる。
19時というかなり早い時間に、消灯。しかし、上に書いたような状況だったし、寝袋の中が思いの外暑かったこともあって、なかなか熟睡できないまま一夜を過ごした。

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